動物病院の開業で失敗する原因とは?|よくあるケースと成功のために考えたいポイント
26.09.14

「動物病院を開業したいけれど、失敗しないか不安」
「開業しても患者様が集まらなかったらどうしよう」
「動物病院の開業では、どのような失敗が多い?」
開業を考えている獣医師の方は、このような疑問や不安をお持ちになったことはありませんか?
動物病院を開業するためには、物件の取得や内装工事、医療機器の導入などに大きな費用がかかります。
さらに、開業後にはスタッフの給与や家賃、医薬品・消耗品費などの固定費や運転資金も必要です。
勤務医として十分な診療経験を積んでいても、「診療ができること」と「動物病院を経営すること」は同じではありません。
診療技術だけでなく、資金計画や集患、採用、スタッフ教育、業務効率化など、さまざまな視点から病院運営を考える必要があります。
この記事では、動物病院の開業で失敗につながりやすい原因や、開業前・開業後に考えておきたいポイントについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、長く安定して経営できる動物病院をつくるための参考にしてください。

動物病院の開業における「失敗」とは?
動物病院の開業における失敗というと、「経営が続かなくなり廃業すること」をイメージするかもしれません。
しかし、廃業に至らなくても
- 想定していたほど患者様が増えない
- 売上はあるものの利益が残らない
- 借入金の返済が経営を圧迫している
- スタッフを採用しても定着しない
- 院長の勤務時間が長く休めない
- 忙しいにもかかわらず経営に余裕がない
といった状態が続けば、開業前に思い描いていた病院経営とは大きく異なってしまいます。
特に開業直後は、患者様がどの程度来院するのかを正確に予測することが難しい時期です。
一方で、患者様が増えた後には、人員不足や待ち時間、電話対応など別の課題が生まれることもあります。
そのため、動物病院の開業では「患者様を集めること」だけを考えるのではなく、来院数が増えた後も無理なく運営できる仕組みまで考えておくことが大切です。
動物病院の開業で失敗につながりやすい原因
動物病院の経営がうまくいかない原因は一つではありません。
立地や資金計画だけでなく、集患や人材、日々の業務の仕組みなど、複数の問題が重なって経営を圧迫する場合があります。
開業資金をかけすぎている
動物病院の開業には、さまざまな初期費用が必要です。
例えば
- 物件取得費
- 内装・設備工事費
- 医療機器の購入費
- 電子カルテなどのシステム費用
- 家具や備品
- 広告宣伝費
などが挙げられます。
理想の診療環境をつくろうとすると、高額な医療機器や設備を開業時からすべて揃えたくなるかもしれません。
しかし、初期投資が大きくなれば借入額や毎月の返済負担も増えます。
「いつか使うかもしれない設備」まで最初から揃えるのではなく、自院の診療方針や想定する患者数を踏まえ、開業時に本当に必要な設備を見極めることが重要です。
運転資金を十分に確保していない
開業費用だけで資金計画を考えることにも注意が必要です。
動物病院を開業しても、すぐに十分な患者数を確保できるとは限りません。
患者数が安定するまでの期間にも
- 家賃
- 人件費
- 医薬品や消耗品の仕入れ
- 水道光熱費
- システム利用料
- 借入金の返済
などの支出は発生します。
開業時の設備に資金を使いすぎて手元資金が少なくなると、想定より患者数の伸びが遅かった場合に経営が苦しくなる可能性があります。
初期投資だけではなく、開業後の運転資金まで含めて資金計画を立てておきましょう。
立地や商圏の調査が不十分
動物病院の経営では、どこに開業するかも重要です。
単純に「駅から近い」「人通りが多い」といった条件だけで判断するのではなく
- 周辺の飼育世帯
- 競合する動物病院
- 住宅地からのアクセス
- 駐車場の確保
- 周辺道路の状況
- 自院が診療対象とする動物種
などを考える必要があります。
例えば、犬や猫の来院では車を利用する飼い主様も多いため、駅からの距離だけでなく駐車場や車でのアクセスが病院選びに影響する場合があります。
開業後に立地を変更することは簡単ではありません。
物件を決める前に、自院が想定する飼い主様が実際に通いやすい場所なのかを検討することが大切です。
周囲の動物病院との差別化ができていない
競合する動物病院がある地域では、「なぜ自院を選んでもらうのか」を考える必要があります。
ただし、必ずしも高度な専門診療を行わなければ差別化できないわけではありません。
例えば
- 特定の診療科に力を入れる
- 猫に配慮した診療環境を整える
- エキゾチックアニマルを診療する
- 土日や早朝などの診療体制を整える
- 予約や受付を利用しやすくする
- 飼い主様への説明を大切にする
なども病院の特徴になります。
自院の強みが明確になっていなければ、ホームページやSNSで情報を発信しても、飼い主様に「どのような病院なのか」が伝わりにくくなります。
開業前から、自院がどのような飼い主様や動物に選ばれたいのかを整理しておきましょう。
集患を「開業すれば自然に来る」と考えている
質の高い診療を提供していても、まず病院の存在を知ってもらわなければ来院にはつながりません。
特に新規開業では、地域の飼い主様に病院そのものを認知してもらう必要があります。
- ホームページ
- Googleマップ
- SNS
- 看板
- 内覧会
など、複数の方法を組み合わせながら認知を広げることが重要です。
また、集患では単純に患者数を増やすだけでなく
- 病院を知る
- 診療内容を確認する
- 予約する
- 実際に来院する
までの導線も考える必要があります。
せっかくホームページやSNSを見ても、予約方法が分かりにくかったり、診療時間内に電話しなければ予約できなかったりすると、来院を検討している飼い主様の負担になる可能性があります。
売上だけを見て経営状況を判断している
患者数が増えて売上が伸びていても、必ずしも経営が安定しているとは限りません。
売上からは、人件費や家賃、医薬品・消耗品費、設備費などさまざまな支出が発生します。
また、忙しくなったためスタッフを増員したものの、業務の仕組みが整っておらず、人件費だけが増えてしまうケースも考えられます。
「患者数が多い=経営がうまくいっている」と考えるのではなく、売上に対してどの程度の費用が発生しているのかを継続的に確認することが重要です。
スタッフの採用や定着を十分に考えていない
動物病院は院長一人だけで運営できる業務に限界があります。
患者数が増えれば、獣医師や愛玩動物看護師、受付スタッフなどの人材も必要になります。
しかし、人手不足になってから急いで募集しても、すぐに必要な人材を採用できるとは限りません。
さらに、採用できても
- 業務量が多すぎる
- 休憩を取りにくい
- 残業が多い
- 教育体制が整っていない
- 特定のスタッフに仕事が集中する
といった状態では、定着しにくくなる可能性があります。
採用人数だけではなく、入職したスタッフが無理なく働き続けられる環境まで考えておくことが大切です。
院長に業務が集中している
開業直後は、診療だけでなく
- 経営
- 採用
- スタッフ教育
- 発注
などを院長自身が担当することも多いでしょう。
さらに、電話や受付、飼い主様からの問い合わせなど細かな業務まで院長が対応していると、診療終了後にも仕事が残りやすくなります。
開業した病院が軌道に乗って患者数が増えた結果、「勤務医時代より休めなくなった」という状況になることも考えられます。
院長にしかできない仕事と、スタッフやシステムに任せられる仕事を分け、院長自身が診療や経営判断に時間を使える体制をつくることも重要です。
動物病院の開業で失敗しないために考えたいポイント
動物病院を安定して経営するためには、開業時の準備だけでなく、開業後の運営まで見据えて計画を立てる必要があります。
ここからは、開業前から考えておきたいポイントを見ていきましょう。
余裕を持った資金計画を立てる
開業時には、理想どおりに患者数や売上が増えなかった場合も想定して資金計画を立てることが大切です。
開業費用だけで予算を使い切るのではなく、開業後の運転資金も確保しておきましょう。
また、「患者数が想定の何割だったらどうなるか」「人件費や仕入れ価格が上昇したらどうなるか」など、複数のケースを想定しておくと、経営上のリスクを把握しやすくなります。
自院のコンセプトと強みを明確にする
「地域密着型のホームドクター」とするのか、「特定の診療科に力を入れる」のかによって、必要な設備や人材、情報発信の方法も変わります。
開業前に
- どのような診療を提供したいのか
- どのような飼い主様に来院してほしいのか
- 周囲の病院と何が違うのか
- どのような病院として地域に認知されたいのか
を整理しておきましょう。
コンセプトが明確であれば、設備投資や採用、ホームページなどにも一貫性を持たせやすくなります。
開業前から集患の準備をする
集患は開業してから始めるのではなく、開業前から準備しておくことが大切です。
ホームページを用意し、
- 診療内容
- アクセス
- 院長の経歴
- 診療方針
などを分かりやすく掲載しておけば、開業前から病院について知ってもらうことができます。
SNSや内覧会などを利用して、地域の飼い主様との接点をつくる方法もあります。
さらに、認知だけで終わらせず、開業後にどのように予約・受付してもらうのかまで導線を整えておきましょう。
患者数が増えた後の運営まで想定する
開業時には「どうやって患者様を増やすか」に意識が向きやすいものです。
しかし、集患に成功しても、受付や診療の仕組みが患者数に対応できなければ、新たな問題が発生します。
例えば、
- 朝の受付開始前から患者様が並ぶ
- 電話が鳴り続ける
- 待合室が混雑する
- 駐車場が埋まる
- 待ち時間が長くなる
- スタッフが受付対応に追われる
といった状態です。
患者数が増えてから運用方法を大きく変えることもできますが、すでに慣れた受付方法を変更する場合には、スタッフや飼い主様への説明が必要になります。
開業時から将来の患者数を想定し、拡張しやすい仕組みを選んでおくことも一つの方法です。
人を増やすだけでなく業務を効率化する
忙しくなったときにスタッフを増やすことは必要ですが、すべての問題を増員だけで解決することは難しいでしょう。
例えば予約電話が増えた場合、電話を取るためだけに人員が必要になっているのであれば、オンライン予約を導入することで負担を減らせる可能性があります。
受付や問診についても同様です。
スタッフが行う必要のない業務をシステム化することで、限られた人員を診療や看護など本来必要な業務に配置しやすくなります。
開業時から「人が行う業務」と「システムに任せられる業務」を整理しておくことが重要です。
開業時から予約・受付の仕組みを整えることも重要
動物病院を開業する際には、医療機器や電子カルテなど院内の設備に目が向きがちですが、飼い主様がどのように予約・受付を行うのかも考えておきたいポイントです。
予約・受付方法は、飼い主様の利便性だけでなく、スタッフの働き方や診療の流れにも影響します。
電話を中心とした運用では、患者数が増えるほど予約や問い合わせへの対応も増えやすくなります。
また、来院が特定の時間帯に集中すれば、待合室や駐車場の混雑、待ち時間の長期化につながることもあります。
開業後に患者数が増えてから対応するのではなく、開業時から、
- 飼い主様がどのように予約するのか
- 日時予約と順番待ち予約をどう使い分けるのか
- 来院前の問診をどう行うのか
- 待っている飼い主様をどのように呼び出すのか
- 既存の飼い主様へどのように情報を届けるのか
まで考えておけば、患者数が増えた後も診療の流れを整えやすくなるでしょう。
予約・受付は単なる事務作業ではなく、飼い主様が病院と最初に接する重要な部分です。
開業時の病院づくりの一つとして考えておきましょう。
「ソトマチ」で開業時から予約・受付の仕組みを整える
動物病院専用の受付・予約システム「ソトマチ」では、LINEを活用して予約・受付を行うことができます。
ソトマチでは、
- 日時予約
- 順番待ち予約
- LINE問診
- 呼び出し通知
- お知らせ配信
などの機能を利用できます。
飼い主様自身がLINEから予約・受付を行えるため、電話による予約対応を減らしやすくなるでしょう。
また、日時予約と順番待ち予約を組み合わせたハイブリッド型予約にも対応しているため、「午前は日時予約を中心にする」「午後は順番待ち予約を中心にする」など、自院の診療スタイルに合わせた運用が可能です。
順番が近づいた飼い主様へ呼び出し通知を送れば、自宅や車内などで待ってもらうこともできます。
開業後に患者数が増えた際にも、待合室や駐車場の混雑を抑えながら診療を進めやすくなるでしょう。
さらに、予約・受付を通してLINEの友だちが自然に増えていくこともソトマチの特徴です。
LINEでつながった飼い主様には、臨時休診や診療時間の変更だけでなく、健康診断や予防シーズンなどのお知らせも配信できます。
新規開業では「どうやって患者様に来てもらうか」だけでなく、一度来院した飼い主様との接点を維持し、必要なタイミングで再来院してもらう仕組みも重要です。
開業時から将来の患者数増加まで見据えて予約・受付の仕組みを整えたい動物病院様は、ソトマチの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ
動物病院の開業で失敗につながる原因には、開業資金や運転資金の不足、立地選び、集患、採用、業務負担などさまざまなものがあります。
また、患者数を増やすことに成功しても、院内の仕組みが整っていなければ、待ち時間の増加やスタッフの疲弊、院長への業務集中といった別の問題が生じることもあります。
動物病院の開業では、「開業すること」をゴールにするのではなく、開業後に患者数が増えても無理なく診療を続けられる病院運営を考えることが大切です。
まずは資金計画や立地、集患方法だけでなく、採用や予約・受付を含めた開業後の運営まで具体的に整理してみてください。
よくあるご質問(Q&A)
動物病院の開業で失敗につながりやすい原因は何ですか?
A.開業資金や運転資金の不足、立地や商圏の調査不足、集患対策、人材採用などが主な原因として挙げられます。
さらに、患者数が増えた後の受付や診療体制を想定していないと、待ち時間やスタッフの負担が増え、経営を圧迫することもあります。
動物病院を開業する前に準備しておきたいことは何ですか?
A.資金計画や立地選びだけでなく、自院のコンセプトや強み、集患方法、採用計画まで整理しておくことが大切です。
開業後にどのように予約・受付を行うかまで決めておくと、診療の流れも整えやすくなります。
患者数が増えた後に病院運営が大変にならないためにはどうすればよいですか?
A.患者数の増加を見越して、電話対応や受付、問診などの業務を効率化できる仕組みを整えておくことが重要です。
オンライン予約や呼び出し通知などを活用すれば、スタッフの負担や待合室の混雑を抑えながら診療を進めやすくなります。

